住宅ローン金利が何%になったら繰り上げ返済が有利?投資との分岐点を試算

公開: 2026-06-15 / Mortfolio

「住宅ローン金利が何%を超えたら、投資より繰り上げ返済した方が得なのか」。大きな分岐点は「ローン金利 ≒ 投資の手取り期待利回り」です。繰り上げ返済はローン金利と同率の“無リスク・非課税の運用”に相当するため、ローン金利が想定利回りを超えるほど繰り上げが有利になります。ただし住宅ローン控除や手元資金の余裕でも前後するので、あくまで判断の目安。以下、その分岐金利を実例で試算します。

結論(3行)

3行でわかる結論
  • 分岐の目安は「ローン金利 ≒ 投資の手取り期待利回り」。金利が利回りを超えるほど繰上が有利(控除・流動性で前後する目安)
  • 新NISA(非課税)なら分岐金利 ≒ 想定利回り。課税口座は税のぶん低めの金利でも繰上有利
  • 変動金利は「今何%か」より「これから上がって何年で逆転するか(防衛ライン)」が核心

まず結論:分岐金利は「想定利回り」とほぼ同じ

残高1,950万円・残り35年・毎月余剰5万円という例で、投資の想定利回りを固定してローン金利を上げていき、35年後に「繰り上げ優先」が「投資優先」を上回る金利(=分岐金利)を試算しました。Mortfolio で算出した数値で、実在の利用者データではありません。

投資の想定利回り新NISA(非課税)の分岐金利特定口座(課税)の分岐金利
1.5%約 1.5%約 1.25%
3%約 3.0%約 2.6%
5%約 4.9%約 4.45%

読み方はシンプルです。新NISAなら「ローン金利が想定利回りを超えたら繰り上げ有利」とほぼ一致します。課税口座は売却益に20.315%かかるぶん手取り利回りが下がるので、分岐金利はもう少し低く(利回り3%でも金利2.6%超で繰上有利)なります。

※ あくまで一例で、住宅ローン控除・手元資金の余裕(流動性)・投資のブレ(リスク)まで入れると分岐は前後します。最後は自分の数字での確認が確実です。

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なぜ「金利 vs 利回り」で決まるのか

繰り上げ返済は、残っているローンの金利ぶんの利息を確実に消す行為です。これは見方を変えると、「ローン金利と同じ利回りで、無リスク・非課税の運用をした」のと同じ効果になります。たとえば金利1.0%のローンを繰り上げれば、確実に年1.0%相当の“運用益”を得たのと同等です。

だから比較はこうなります——投資の想定利回りがローン金利を上回るうちは、リスクを取って投資した方が期待値で有利。ローン金利が想定利回りを超えると、わざわざリスクを取らなくても繰り上げで確実に上回れる、というわけです。新NISAは投資側を非課税で底上げするので、分岐金利を“想定利回りそのもの”に近づけます。

実例:利回り3%のとき、金利別の35年後純資産

想定利回りを年3%(新NISA・非課税)に固定し、ローン金利だけを変えたときの35年後の純資産(投資の手取り評価額−ローン残高)です。前提は残高1,950万円・残り35年・毎月余剰5万円・控除なし・金利上昇なし。

ローン金利投資を優先繰り上げを優先有利なのは
1%約 3,677万円約 3,032万円投資
2%約 3,677万円約 3,337万円投資
3%約 3,677万円約 3,693万円繰上(僅差)
4%約 3,677万円約 4,103万円繰上

金利が利回り3%に近づくほど差は縮まり、3%を境に繰り上げが逆転。金利4%では繰り上げが約426万円も上回ります。「金利が利回りを超えるほど、繰り上げの“確実さ”が効いてくる」のが数字で見えます。

変動金利は「今何%か」より「これから」

ここまでは金利が動かない(固定)前提でした。変動金利の本当の問題は、今の金利ではなく将来の上昇です。今が利回りより低くても、金利が利回りを超えて上がり続ければ、どこかの年で繰り上げが逆転します。その逆転する年を Mortfolio では防衛ラインと呼んでいます。

たとえば同じ例(利回り3%・初期金利1.025%)に、3年後+1%・8年後+1%・15年後+1%(最終約4%)の上昇を入れると、18年目に繰り上げが投資を逆転(防衛ライン18年)、35年後は繰上 約2,670万円 > 投資 約2,490万円となりました。つまり変動金利では「何%で有利か」を「何年もつか」に読み替えるのが核心です(考え方は 防衛ラインとは?、実例は 変動金利は繰り上げ返済すべき?)。

※ 防衛ラインの年は前提(控除・併用割合・5年ルール/毎月見直しなど)で前後します。上の例は控除なし・元利均等での試算。

今の変動金利なら繰り上げ返済は必要?

変動金利は金融機関や優遇条件で幅がありますが、近年は上昇傾向で、2026年時点では大手行でおおむね年1%前後(ネット銀行はそれより低め)まで上がってきました。2024年以降の日銀の利上げを背景にした動きです(参考:モゲチェック「住宅ローン金利2026年6月の最新動向」。最新の適用金利は各金融機関でご確認ください)。

想定利回りを3〜5%で見るなら、今の変動金利(1%前後)はまだ利回りを下回る水準なので、期待値では投資(とくに非課税の新NISA)が優位になりやすいといえます。ただしこれは「今の金利が続けば」の話。変動金利は上昇傾向にあり、金利が利回りに近づく・超えると分岐は繰り上げ寄りに動きます。だからこそ「今何%か」だけで決めず、これから上がったときに何年で逆転するか(防衛ラインまで見ておくのが安全です。

結局どう判断する?

状況判断の目安
固定金利金利 > 想定利回りなら繰り上げ有利、金利 < 想定利回りなら投資(NISA)有利。金利は動かないので静的に判断できる
変動金利・今は低金利当面は投資が有利でも、防衛ライン(何年で逆転するか)を確認。手前に来そうなら繰上の併用・固定への借換も検討
課税口座で運用税のぶん手取り利回りが下がるので、分岐金利は低め。低金利でも繰上の妙味が出やすい(→新NISAと繰上どっち
手元資金が薄い金利の大小以前に、まず生活防衛資金を確保。繰上は引き出せないため流動性に注意

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運営方針・計算の根拠

Mortfolio は、住宅ローンと投資の比較を目的とした個人開発のツールです。金融商品の販売・勧誘は行っていません。計算は、公開された住宅ローンの返済計算式(元利均等・元金均等)と複利計算に基づいて実装し、課税(譲渡益課税20.315%/新NISA非課税)・住宅ローン控除・変動金利の見直しルールなども公開情報に基づき保守的に反映しています。本記事の数値はこのツールで算出した試算値です。詳しくは運営者情報・計算の根拠計算ロジックをご覧ください。

本記事・ツールは一般的な情報提供であり、特定の金融商品や行動を推奨するものではありません。試算は入力した前提に基づく概算(期待値ベース・暴落や税制の細部は簡略化)で、将来を予測するものではありません。入力データは端末内だけで保持し、サーバーへ送信しません。投資・返済の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。

よくある質問

住宅ローン金利が何%を超えたら繰り上げ返済すべきですか?

目安は「ローン金利が投資の想定利回りを超えたら繰り上げが有利」です。繰り上げ返済はローン金利と同率の確実な(無リスク・非課税の)利回りで運用するのと同じだからです。新NISA(非課税)で運用する場合、本文の試算では分岐金利はほぼ想定利回りと同じでした(利回り3%なら金利およそ3%)。課税口座なら税のぶん、もう少し低い金利でも繰上が有利になります。

なぜ金利と利回りの大小で決まるのですか?

繰り上げ返済は、残ったローン金利ぶんの利息を確実に消す行為で、実質「ローン金利と同じ利回りの、無リスク・非課税の運用」に相当します。だから、投資の想定利回りがローン金利を上回る間は投資が有利、ローン金利が想定利回りを超えると繰り上げが有利、という分岐になります。

変動金利が今は1%未満です。繰り上げ返済は不要ですか?

今の金利が想定利回りより低いなら、期待値では急ぐ必要はありません。ただし変動金利は将来上がりうるため、「今何%か」だけでなく「これから上がったら何年で投資が負けるか(防衛ライン)」も見るべきです。金利が利回りを超えて上がり続けると、どこかの年で繰上が逆転します。

課税口座(特定口座)だと分岐金利は変わりますか?

変わります。課税口座は売却益に20.315%かかり手取り利回りが下がるため、分岐金利は新NISAより低くなります。本文の試算では、想定利回り3%で分岐金利は新NISAが約3.0%、課税口座が約2.6%でした。つまり課税口座のほうが、低めの金利でも繰り上げが有利になります。

固定金利と変動金利で考え方は違いますか?

固定金利は金利が動かないので「今の金利 vs 想定利回り」で静的に判断できます。変動金利は将来上がりうるため、「今の分岐」に加えて「上がっていったときに何年で逆転するか(防衛ライン)」を重ねて見るのが核心です。

繰り上げ返済は住宅ローン控除が終わってからでも遅くない?

控除期間中は年末残高に応じて税が軽減され、実質的な金利負担が下がります。そのため控除期間中は急いで繰り上げない方が有利なケースがあり、控除終了後にまとめて繰り上げる判断も合理的です。控除の残り年数と利息軽減のどちらが大きいかは試算で確認しましょう(詳細:住宅ローン控除中の繰り上げ返済は損?)。

投資が暴落したらどうなりますか?

本記事の試算は期待利回りベースで、実際の投資収益は上下に変動します。暴落の局面では、確実に利息を減らせる繰り上げ返済のほうが結果的に有利になる可能性があります。投資のブレが不安な場合は、繰上との併用でリスクを分散するのが現実的です。