新NISAと繰り上げ返済、どっちを優先?非課税メリットを実例で試算

公開: 2026-06-15 / Mortfolio

住宅ローンを抱えながら新NISAも始めたい——繰り上げ返済新NISAでの投資、どちらを優先すべきか。結論から言うと、「投資の想定利回り」と「ローン金利」の差に、新NISAの非課税という追い風を加えて考えます。ただし「非課税だから必ず投資が得」ではありません。

結論(3行)

3行でわかる結論
  • 新NISAは売却益が非課税。想定利回り > ローン金利なら、非課税の追い風で投資が有利になりやすい
  • 同じ前提でも非課税というだけで35年後に約320万円の差(下の実例)
  • ただし変動金利の上昇(防衛ライン)・手元資金の薄さでは繰上の価値が上がる。最後は自分の数字で

まず結論:非課税で35年後の純資産が約320万円変わる

細かい制度説明より先に、「結局どれくらい違うのか」を見ます。以下は理解のための一例です(Mortfolio で試算した数値で、実在の利用者データではありません)。前提は、ローン残高1,950万円/残り35年/変動1.025%(元利均等)、投資の想定利回り年3%、毎月の余剰5万円、金利上昇なし(平常時)・住宅ローン控除は考慮せず。

「投資を優先」したときの35年後の純資産新NISA(非課税)特定口座(課税20.315%)
投資の手取り評価額 − ローン残高約 3,677万円約 3,357万円
差(非課税のメリット)約 320万円

同じ利回り・同じ積立でも、非課税というだけで約320万円の差20年時点でも非課税の効果は約88万円ありました(NISA 約712万円 vs 課税 約624万円)。期間が長く利回りが高いほど、この差は広がります。なお同じ前提での繰り上げ返済を優先の純資産は約3,039万円で、この例では利回り3%が金利1.025%を上回るため投資側が優位でした。

※ 純資産=投資の手取り評価額からローン残高を引いた正味の額。戦略間のが比較のポイントです。結果は残高・金利・利回りで大きく変わります。

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新NISAの「非課税」はなぜ効くのか

通常、株式・投資信託の売却益には20.315%の税(所得税15.315%+住民税5%)がかかります。新NISAの口座で投資した分は、この売却益が非課税。長期で複利が効くほど含み益が大きくなり、その益にかかるはずだった税が丸ごと残るため、投資側の手取りを押し上げます。これが先ほどの約320万円の差の正体で、「繰上 vs 投資」で投資に味方する力です。

一方の繰り上げ返済は、ローン金利分の利息を確実に減らす行為で、こちらに税はかかりません。だからこそ判断は「税引き後で見た投資の期待リターン」と「繰上で確実に減らせる利息」の比較になります。

それでも「非課税=必ず投資有利」ではない理由

非課税は強力ですが、これだけで投資優先を決めるのは早計です。次の点は投資側の有利を打ち消し、繰上の価値を押し上げます。

要素投資(新NISA)に不利に働く場面
変動金利の上昇金利が利回りを超えて上がり続けると、どこかの年で繰上が逆転(=防衛ライン)。非課税でも金利上昇には勝てないことがある
利回りとローン金利の差想定利回りがローン金利を大きく上回らない(差が小さい・下回る)なら、非課税でも繰上の確実な利息軽減に届かないことがある
流動性・生活防衛資金NISAは売れば現金化できるが、暴落時に取り崩したくない。手元資金が薄いなら現金・繰上で守りを固める方が安心

とくに変動金利の人は、非課税メリットの上に「金利が上がったら何年で投資が負けるか(防衛ライン)」を重ねて見るのが核心です。考え方は 変動金利は繰り上げ返済すべき?投資との比較 で実例とともに解説しています。

あなたはどっち向き?(NISA優先 / 繰上優先の目安)

「枠があるからとりあえず全部NISA」でも「不安だから全部繰上」でもなく、自分のタイプで線を引くのが確実です。当てはまりが多い方が向いています。

タイプ当てはまる人
NISA投資を優先しやすい想定利回りがローン金利を十分上回る/長期で運用できる(運用期間が長い)/生活防衛資金を確保済み/固定金利で金利上昇リスクが小さい/住宅ローン控除の期間中で残高を維持したい
繰り上げ返済を優先しやすいローン金利が高め/変動金利で金利上昇が不安/投資の値動きが苦手・リスクを取りたくない/運用できる期間が短い(退職が近いなど)
併用が現実的どちらも捨てがたい/リスクを分散したい——多くの人にとって無理のない選択

当てはまりが半々なら、毎月の余剰を割って併用するのが現実的。割合を変えたときの純資産の差は、ツールで並べて確認できます。

補足:新NISAの非課税枠(2024年〜)

毎月の余剰や手元資金が大きい人は、非課税で投資できる枠の上限も前提になります(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト)。

枠を超える分は、課税口座での投資(非課税メリットが消える)か繰り上げ返済かの比較になり、ローン金利との差が小さい人ほど繰上の魅力が相対的に上がります。

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運営方針・計算の根拠

Mortfolio は、住宅ローンと投資の比較を目的とした個人開発のツールです。金融商品の販売・勧誘は行っていません。計算は、公開された住宅ローンの返済計算式(元利均等・元金均等)と複利計算に基づいて実装し、課税(譲渡益課税20.315%/新NISA非課税)・住宅ローン控除・変動金利の見直しルールなども公開情報に基づき保守的に反映しています。本記事の数値はこのツールで算出した試算値です。詳しくは運営者情報・計算の根拠計算ロジックをご覧ください。

本記事・ツールは一般的な情報提供であり、特定の金融商品や行動を推奨するものではありません。試算は入力した前提に基づく概算(期待値ベース・暴落や税制の細部は簡略化)で、将来を予測するものではありません。NISA制度の詳細・最新の取扱いは金融庁のNISA特設サイトや金融機関でご確認ください。入力データは端末内だけで保持し、サーバーへ送信しません。投資・返済の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。

よくある質問

新NISAなら繰り上げ返済より投資が必ず得ですか?

必ずではありません。非課税は投資側の追い風で、想定利回りがローン金利を上回るほど投資が有利になりやすいですが、変動金利が利回りを超えて上がり続ければどこかの年で繰上が逆転します(防衛ライン)。住宅ローン控除の期間中や、手元資金が薄い場合も繰上・現金確保が合理的なことがあります。

新NISAの非課税枠(1,800万円)を使い切ったらどうする?

生涯投資枠1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)を超える分は、課税口座(特定口座)で投資するか、繰り上げ返済に回すかの比較になります。課税口座は売却益に20.315%かかるため非課税メリットが消え、ローン金利との差が小さい人ほど繰上の魅力が相対的に上がります。なお売却すると翌年に簿価分の枠が復活します。

課税口座(特定口座)だと結果はどれくらい変わりますか?

売却益に20.315%の税がかかる分、手取りが目減りします。本文の実例(残高1,950万円・利回り3%・35年)では、投資優先の35年後の純資産が新NISAで約3,677万円、課税口座で約3,357万円と、非課税で約320万円の差が出ました。利回りや期間が大きいほど差は広がります。

つみたて投資枠と成長投資枠、繰上比較ではどちらを使う?

繰上 vs 投資の損得そのものは、枠の種類ではなく「想定利回りとローン金利の差」で決まります。年間はつみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=最大360万円。長期の積立はつみたて投資枠が基本で、枠や対象商品の詳細は金融庁のNISA特設サイトで確認してください。

繰り上げ返済を一旦やめて新NISAを優先すべきですか?

一概には言えません。想定利回りがローン金利を十分上回り、長期で運用でき、手元の生活防衛資金が確保できているなら、非課税の効くNISA投資を優先する合理性は高まります。逆に金利上昇が不安・流動性が薄い・控除の影響が大きいなら繰上の価値が上がります。あなたの数字での比較で確認しましょう。